
No More HATE CRIME 金滿里さん講演会
ー私たちの中の優生思想を考えるー
11/23(祝・水)
7月26日の相模原障害者殺傷事件は、いよいよ日本でも「ヘイトクライム」(社会的マイノリティをターゲットにして行われる差別犯罪)が現実化し、その被害の規模の大きさ・残忍さから、私たちマイノリティにとって「自分もいつ本当に殺されるかもしれない」という危機感を抱かせる衝撃的な出来事となりました。一方で、この事件は「ヘイトクライム」という現象だけで問題をとらえるべきではなく、犯人が訴えている「優生思想」について、深く自分に引き付けて、考えてみる必要があると考えます。「障害者は不幸である」「日本国と世界経済のため(に障害者は必要ではない)」といった思想は、すでに社会に蔓延しており、また国の経済の低迷が、弱者切り捨て政策を正当化し、こうした価値観を強化している現実があります。
KEYは、「在日コリアン青年一人ひとりのエンパワメント」また「多様性の尊重と、開かれたコミュニティづくり」をうたっています。私たちは「在日コリアン」という概念に行き過ぎた固定観念を持つことで、時に一人ひとりの違いを認めず、疎外感を与えたり、「民族」という概念には、歴史的に「優越した民族性」や「強くて健康な体」「優れた知能」を追い求めようとしてきた側面もあります。こうした私たちの中にある「優生思想」を問い直すことが、いまとても重要なことだと考えます。またそれは、頭で考えるだけでもなく、健常者一人ひとりの日常の生き方、あり方が問われているのではないでしょうか。
本イベントは、在日コリアン2世である金満里さんが17歳まで障害者施設で過ごされてきた個人史をお聞きするとともに、劇団「態変」を立ち上げ、障害者と健常者の関係性を壊し、身体表現者として新たな関係性を構築されてきた発想に触れ、共生の可能性―政治的・経済的に閉塞した時代の中でも私たちがいろんな多様な人とつながって生きる底力の大切さ―を実感し、広く日本の青年の皆さんと共有する機会にしたいと考えます。

撮影=坂井公秋/提供=シアターガイド