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植民地時代における朝鮮人の国籍・法的地位

 植民地時代における朝鮮人の国籍・法的地位は三つの柱によって成り立っていた。①韓国併合による日本国籍付与、②朝鮮への国籍法の不施行、③朝鮮戸籍令による峻別、である。

 

①韓国併合による日本国籍付与


 1910年の韓国併合条約によって、すべての朝鮮人は日本国籍保持者であるとされた。同条約を根拠として、朝鮮人は居住地域にかかわらず日本の統治権の範囲内に含まれるとされた。

 

②朝鮮への国籍法の不施行


 ところで当時の国籍法には国籍離脱の手続きが定められていた。もし国籍法が朝鮮にも適用された場合、朝鮮人は合法的に日本国籍を離脱できることになり、①は効力を失う。
 そのため日本は朝鮮人の国籍離脱を阻止するために、朝鮮に国籍法を施行しなかった。当時朝鮮は日本の植民地であり、大日本帝国憲法が及ばないとされる外地であった。

 

③朝鮮戸籍令による峻別


 日本は1922年に朝鮮戸籍令を制定し、朝鮮戸籍から内地戸籍への転籍を禁止した。これによって日本は、朝鮮人を①で日本国籍保持者にしながらも、戸籍を用いて日本人と法的に峻別することを可能にした。
 1920年代は在日朝鮮人社会が本格的に形成される時期であり、1920年に約3万人だった在日朝鮮人人口は1930年には約30万人となった。朝鮮人の渡日者が増える中で、朝鮮人と日本人の区別がつかなくなることを防ぐ措置だったといえる。

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