
「在日特権」
「在特会」が主張する「在日特権」
「在特会」(「在日特権を許さない市民の会」)が主張する主な「在日特権」は以下の通りだ。
①特別永住資格
「平和条約国籍離脱者等入管特例法」によって認められた資格である。もちろん、他の外国人にはこのような資格は与えられておらず、在日韓国人・朝鮮人を対象に与えられた特権といえる。紛れもない外国人でありながら、日本人とほぼ変わらぬ生活が保障されている。
②朝鮮学校補助金交付
朝鮮学校は教育法一条の定める学校ではないため「各種学校」として扱われるにも関わらず、各地方自治体からの支援(助成金)や補助金を受けている。文部科学省の定める学習指導要領を無視した民族教育という名の反日教育を行いながら、一条校と同等の権利を得ようと積極的な活動を行っている。
③生活保護優遇
生活保護とは困窮する「国民」に対し、最低限度の生活を保護する制度である。しかしい、日本では在日外国人にも生活保護が適用され「国民の保護」がおざなりにされている。特に、在日韓国人・朝鮮人への給付率が異常なほど高く、平成16年度の統計では、外国人生活保護者数の約70%が在日という結果が厚生労働省から発表されている。
④通名制度
建前上は在日朝鮮人以外の外国人にも適用されている制度ではあるが、実質的にこの制度を使っているのは在日韓国・朝鮮人が大多数である。犯罪を犯しても「通名報道」によって本名が隠されている場合が多い為、まさに犯罪を助長させている制度に他ならない。
(※以上、「在日特権を許さない市民の会」発行のビラ「あなたは『在日特権』をご存知ですか?」。安田浩一『ネットと愛国』を参照)
「在日特権」への批判
「在日特権」など存在しない。様々な批判があるが、主な批判を紹介する。
■安田浩一氏の批判
①特別永住資格
1952年のサンフランシスコ講和条約発効により、かつて日本国籍を有していた在日コリアンは記号としての「朝鮮籍」となり、無国籍状態となった。1965年に日本は韓国と国交を樹立し、韓国籍を選択した人は本人の申請によって2代目まで永住資格を与える、「協定永住資格」を設けた。さらに1991年入管特例法が施行され、3代目以降の永住許可が認められると同時に、韓国籍のみならず朝鮮籍にも永住資格が付与されるようになったが、これが「特別永住資格」である。「権利」ではなく、「資格」なのである。
②朝鮮学校補助金交付
現在、朝鮮学校には日本政府からの助成金は1円も支給されていない。各地方自治体によって助成金は支給されているが、平均すれば公立学校の10分の1、私立学校の3分の1程度である。東京都は2012年1月、朝鮮学校への補助金を予算として計上しないことを決めている。また学校教育法では文部科学省の指導要領に従い、外国語以外の授業を日本語でおこなう学校を一条校とし、それ以外を各種学校としているが、朝鮮学校は後者にあたる。国からの助成金がないのはそのためである。教育内容についても、反日教育は無かったという朝鮮学校出身者の証言がある。
③生活保護優遇
外国籍住民にとって生活保護とは、政府や自治体による一種の行政判断によって支給されている。厚生労働省の2011年の調査では、生活保護を受けている韓国・朝鮮籍世帯の割合は約13%であるのに対し、日本人世帯の割合は3%であった。在日コリアンの生活保護受給者の多くは高齢者であり、差別を受けながら社会的・経済的基盤が脆弱となった。さらに国民年金制度の創設時には国籍条項によって加入できず無年金となり生活が困窮し、生活保護の申請基準を満たした場合が多いのである。
また生活保護を申請して支給が認められなかった場合、日本人であれば不服申し立てをおこなうことで、支給が許されるケースが存在するが、外国人からの訴えは棄却するように厚生労働省は各地方自治体へ通達している。
④通名制度
通名は戦前の「創氏改名」によって作られた制度である。朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった1940年、朝鮮総督府は朝鮮の父系血統を基本とする夫婦別姓を日本式の「家社会」に改め、朝鮮人の名前を日本式に変えることを目的に、創氏改名制度を施行したのである。その時多くの朝鮮人が生活上の不利益を恐れて、または強要され日本式の名前を選択した。戦後在日朝鮮人は便宜上、あるいは民族差別から逃れるために日本名を名乗り続ける者も少なくなかった。また、日本の役所も彼らの日本名使用を、法的効力を持つ名前として認めてきている。
※参考文献
安田浩一『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book) 』(講談社)
関東弁護士連合会編『外国人の人権 』(明石書店)