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未来世代のための

在日コリアン歴史プロジェクト

< 未来世代のための在日コリアン歴史プロジェクトについて>

 ヘイトスピーチの多くが歴史歪曲にまつわるものであるから、自身の存在証明の為には歴史認識問題を避けて通れない。・・・しかし歴史をどのように学んだらいいのかわからない・・・。と、多くの在日コリアン青年たちは痛感しています。朝鮮半島にルーツを持つ自分と肯定的に向き合うためには、インターネットにおける歪んだ情報などではなく、実際にその時代を生きた人々の生きた歴史を学ぶ必要があります。

 

 さらに、今夏に予定されている戦後70年の安倍談話により、日本社会における歴史認識の更なる後退、日韓関係の更なる悪化が予想されます。このような時代において、在日コリアンの立場から植民地支配や過去の戦争についての認識を発信する必要性は、ますます高まっていると言えるでしょう。

 

 そこでKEYは、世代をまたぐ在日コリアンの長く貴重な歴史を次世代に継承するため、「未来世代のための在日コリアン歴史プロジェクト」(略称「未来歴史プロジェクト」)を立ち上げました。このプロジェクトでは、在日一世や二世の方々の資料や証言をとおして、そこに息づく在日コリアンの歴史を生き生きと学べる、未来を担う在日コリアン青年たちが手に取ってみたくなるような教材・書籍づくりを目指します。

 

 また、在日コリアン歴史書の多くが、男性や、文字を書くことのできる限られた立場の人によって記されてきました。しかし在日コリアンの歴史を継承してきたのは女性を含めた様々な立場の人たちです。これまで記録されることの少なかった女性やマイノリティの歴史にできるだけ焦点をあてることもこのプロジェクトの目的の一つです。

              【参考】KEYの取り組みが新聞に掲載されました(2015.6.16 毎日新聞)

 

【資料提供・証言聞き取りのお願い】

 KEY未来歴史プロジェクトでは、教材コンテンツの元となる、資料や証言を集めています。

 在日コリアン家庭で保存・保管されてきた家族写真や、行政などとの手続き用書類、仕事道具や日用品など、当時の歴史資料を提供していただけませんでしょうか?また、戦前・戦後を生きた在日コリアン一世・二世の方々による証言の聞き取りをさせていただけませんでしょうか?あるいは、資料提供や証言聞き取りに協力してくださる方の紹介も随時、受け付けております。

 いま、残しておくべき在日コリアンの歴史を、未来世代へ継承するため、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。

2015.8.30

「解放70年」世代をつなぐ在日コリアンパネルトーク

 

 戦後70年。在日コリアンにとっては「解放」70年の大きな節目です。               

 植民地支配を経験した在日コリアン一世、戦後の差別と闘った二世、韓流ブームとヘイトスピーチを経験している三世…。各々の立場で、個人史から今の日本社会への思いまでを発信し、未来世代に残したいもの、伝えたいことについて、世代をつなぐパネルトークを行いました。

 

★イベントチラシはコチラ

 

Ⅰ部:各世代よりテーマトーク  ・・・個人史、いきがい、今の社会への思い・・・

<出演者>

● 曺智鉉(チョ・ヂヒョン)氏 

 在日一世。1938年済州島生まれ。京都薬科大学中退。写真家・古代史研究家。『写真集猪飼野―追憶の1960年代』(2003)など

 

 文京洙(ムン・ギョンス)氏

 在日二世。1950年東京生まれ。立命館大学国際関係学部教授。『韓国現代史』(2005)『在日朝鮮人問題の起源』(2007)など

 

●KEYより、在日三世世代として・・・

 歴史修正主義と在日コリアンのアイデンティティ、マイノリティの視点で歴史を継承すること・・・

 

Ⅱ部:世代をつなぐパネルトーク

       ・・・未来世代に残したいものとは?これからの時代を生きる在日コリアンへのメッセージ・・

 

 

おかげさまで、約70名の参加で、有意義な時間となりました!!!

KEY会員による、当日の報告(レポート)はこちら

 

なお、パネルトークの最後に、KEYからアピール文を発表させていただきました。以下に掲載しておりますので、ぜひご一読くださいませ。

 

 

「解放」70年-植民地支配の克服と東アジアの平和を求める在日コリアン青年アピール

 

 今年2015年は戦後70年、在日コリアンにとっては「解放」70年の節目の年です。今月14日、安倍首相は戦後70年の談話を発表しました。植民地支配と侵略の事実を認め「お詫び」を表明した1995年の「村山談話」をかねてから否定してきた安倍首相による談話は、「歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」との表現で、過去の談話を踏襲する立場が示されました。しかし冒頭から「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」という一方的な歴史観が表明され、侵略戦争の根拠には「経済のブロック化」の強調、朝鮮半島については具体的な記述が無いまま「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」と一般論として語られるにとどまっています。また日本軍「慰安婦」問題については「女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」と極めて曖昧な表現で、加害行為と責任主体が明示されていません。かたや連合国の捕虜に対する「感謝」の表明は、戦勝国と旧植民地国に対する眼差しの違いを感じさせます。 また、未来に向けて、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べられていますが、私たち在日コリアンは「あの戦争には何ら関わりなく」生きようとも、常に存在自体が歴史認識論争の的となり、ヘイトスピーチと向き合うことを強いられています。真の意味で「植民地支配から永遠に訣別」するためには、植民地支配がどのようなものであったかを明らかにした上で、関係性を克服するための歴史教育が必要です。来年度から使用される検定教科書に「慰安婦」問題や関東大震災の朝鮮人虐殺の記述が大幅に削除されたことも、私たちは大変憂慮しています。在日コリアン青年が安心して日本で暮らせるよう、歴史教育の見直し、民族教育権の保障、ヘイトスピーチ法規制・差別禁止法の制定といった課題に、日本政府は積極的に取り組むべきです。 現在、集団的自衛権を容認し平和憲法を蔑ろにする安全保障法制が成立しようとしています。私たちは、日本が過去の過ちを直視せず、再び「戦争のできる国」へと進んでいくことに強い危機感を抱きます。私たち在日コリアンは日本の朝鮮植民地支配により生まれた存在です。それは、日本のアジア侵略と戦争被害の歴史を物語る存在であり、国家権力による抑圧や影響下に常に置かれてきた存在であることを意味します。 加害の事実に目を背け、再び戦争ができる国を目指す今の日本社会の情勢を目の前にし、被害者、社会的弱者の視点から真の植民地支配の克服と東アジアの平和の実現のために、私たちは在日コリアンの歩みを学び、身近な友人、まだ見ぬ在日コリアン青年、そして日本社会と朝鮮半島双方に発信していくことで、歴史を直視し世代を繋ぐ役割を、今後も積極的に果たしていくよう、努めていきます。

2015年8月30日在日コリアン青年連合(KEY)

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