在日コリアン青年連合(KEY)

TEL: 06-6762-7261

(火木9時半~17時半)

FAX: 06-6762-7262
E-mail:info@key-j.net

​Interview

身近な在日コリアン

 のライフヒストリー

◆「自分の整体を受けたい」か

 
―――とはいえ、絶対に人が来るとは限りませんよね。

 

そうです、絶対に来るとは限りません。でもこちらが行かなければ、ゼロみたいなもんですし。また、行くことを恥じることもないですし。自分に後ろめたさや、自分の商品に不満があったり、これを人に提供するのはどうかなってものがあったら、提供できないですけど。僕は自分自身が自分の整体を受けたいと思ってるんです。自分が6000円払ってでも受けたい整体を人に提供できてるかと考えたら、そういう意味においては、自信はありますね。それを人に勧めることに関して、うしろめたさがないんですよ。

 

――――いま、他のスタッフの方もおられるんですか?

 

はい、僕が休みのとき、女性のスタッフが入ってくれてます。ただ、業務委託という形態です。彼女は一日6人くらい揉むんですよ、それで単価5000円なんです。御影フィールの業務委託料として1000円だけもらうんですよ。合計3万円から1000円引いて、一日29000円が彼女の給料になるんですよ。ですので、経営をしている僕自身が利益に固執していなかったら、それもできるんですよ。たぶん、それをほとんどの経営者がやってないんですけど。いま雇われてる人たちって、ほんとはもっともっとお金をもらえるはずなんですよ。でも経営者が利益に固執したり、維持費や固定費にかけすぎてたりしちゃうから、お金がどんどん出ちゃうんやろーなと、思います。

 

◆整体の可能性―「壁」を「門」にする

 
――――最近、整体の学校をつくられたということですが、そこまでの経緯と、実際に運営していてどうですか?

 

整体業界における需要と供給のバランスは、需要が非常に多いです。しかし、供給する側の技術があまりにも悪すぎると思います。結局、整体難民、つまり「どこの店いったらいいの?」っていう人が多いです。僕自身が、一年以上先まで予約が入る整体師になってるっていうのは、需要が多いからと言えます。その患者さんたちの需要を満たしたいというのと、あとは働き方の一つとして整体っていうのがもっとあっていいと思います。労働時間はそんなに多くないです。せいぜい4人くらいしか見れないです。集中力が切れちゃうので。そしたら4時間くらいしか実際働いてないんですよね。生き方としてすごくいいと思うんですよ。もちろん店に拘束される時間は8時間くらい~10時間くらいなんですが、その中で空いてる時間は好きに本読んだり、昼寝したりとか、けっこう気ままなんですよ。この仕事をもっといろんな人に勧めていきたいって思いました。

 

整体は人と人が直接つながりあえる仕事です。一つは、ノンバーバルコミュニケーション。言語を介さなくても繋がれる仕事です。もう一つは、ノンバイオレンスコミュニケーション。暴力を介さないコミュニケーション。この二つを整体は持ってるんですよ。そこで生まれる人間関係っていうのは、とても平和的なんですよ。だって、相手は何を求めているかっていったら、僕と喧嘩しに来てるわけじゃないですよね。癒しを求めて来てるわけですから。僕はこれまで二万人以上施術しましたけど、僕、今の「在日」ってことであまりとやかくいわれた経験ってないですね。そもそも、レッテル貼っている人って来ないですからね。

 

あと、チェーン展開を僕がする場合、先ほど言ったように、消耗しすぎてしまうと思うんです。少なくとも、家庭は持てないだろうなって。持てたとしても、家庭を顧みるような生活はできないと思ったんです。こどもを不幸にしてしまうと思うんです。お金はその代わりものすごい手に入るかもしれないけど。なので、チェーン展開するのもなんか違うなと思ったし、しんどいなと思いました。患者さんはそもそも、僕を求めて来てくれてますから。

 

そういう意味で学校をつくったのは、整体の技術を広めて、個々人がこの仕事っていいよねって目覚めて、で、小さな「御影フィール」みたいなお店がいろいろできたら、社会的にもよくなっていくんじゃないかなって。人と人とのつながりが増えていくんじゃないかなって。

 

僕は思うんですが、よく分裂、分断された世界とかって表現を取られるじゃないですか?国籍とか、思想とか、肌の色、性別などで。やっぱりそこで壁が生まれていくからじゃないなって思います。そこが壁じゃなくて、「門」にしないといけないんじゃないかなと。それにはやはり、言語を超えた状態のところで、分かち合えるものとか通じ合えるものってあるんじゃないかなって思ったりして。その門にする可能性は、身体から心を取り戻していくこと。整体はそれができるんじゃないかと。それが広まればいいなと思ってます。

 

◆整体学校と社会実践について

 
――学校を開いたのはいつでしたっけ?

 

去年の九月なので、もうすぐ一年です。ただ、率直に言いますと、しばらく休校にしようかと思ってます(笑)※。受講生はいま、定員オーバーで、断っています。それよりも、人間関係が大変なんです。すごく大変です。金曜の夜に仕事を終えてから、社会人の方を対象に教えに行ってるんですが。

 

僕が伝えたいことや思いはあるんですが、問題は自分が「若い」っていうところかなと。もっと70歳とかになって、人生経験を経て、趣味のようなかたちでもう一回やれたらいいかなと考えています。いま店が忙しいというのもありますし。いろいろ、僕も勉強したいっていうことも増えて来たので。

あとは、卒業した人がバンバン独立していくんですよ(笑)。それは喜ばしいことなんですけど、同時に僕に対する負担もすごいものがあって。プレッシャーが大きいです。そのお店がつぶれたことが、僕の責任ではないとはいえ、やっぱりショックですし、なんとかつぶさないようにしてあげたいなって思いますし。でも、そこまで僕が動き回れる暇があるかっていったら、いまはそうでもないんですよね。

(※2018年11月から「御影整体学院」をリニューアルして開講しています。)

―――入学して、何か月くらいで修了になるんですか?

 

一応三か月から半年です。基礎は三か月くらいで十分ですね。あとは自分で見つけて行ってもらわないと。ただ、でもなにか追いかけていって楽しい仕事ではありますね。ほんとにセンスが無い人はね、いくら教えてもセンス無いんですよ。これは僕の限界かなとも思いつつ。学校をオープンして、厚生労働省の認可は下りているので、いつでも学校は再開できるっていうのはあります。

 

ただ、さっき言ったように、やらないでいるっていうのは違うなって。とりあえず、自分が今すべきことは、人に技術を教えることよりも、先にもっとやらなくちゃいけないことがあるなと。なので、いったん休講して、また時期見て開講しようかなと思っています。

 

――これまで整体師として社会的な実践をいろいろやってると思うんですが。ボランティアなどのきっかけは何だったんですか?

 「ハナの会」(神戸市長田区にある、多様なルーツを持った高齢者が入所されているデイサービス)でボランティアを始めたきっかけは、KEY(在日コリアン青年連合)の繋がりで紹介してもらって。あとは、運営されているKFC(神戸定住外国人支援センター)の理事長、金宣吉さんとうちの母が友達だったんです。その二つが合わさって、それで整体しているって言ったら、「ハンメ(おばあさん)たちの身体さわってくれ」っていうことで。

 

同じように、ハンセン病の療養所でもそこに入所している人の身体さわって、沖縄の辺野古の基地で疲れている人たちの身体さわって。被災地でもボランティアで疲れている人たちの身体さわって。整体っていう仕事自体に需要がありますよね。求められているような気がしますね。ほんまにいい仕事ですよ。